大阪市中央区|社会保険労務士事務所アンドディー【大阪 社労士】
人材を人財に変える社労士事務所・アンドディー
人材を人財に変える社労士事務所・アンドディー
こんにちは。アンドディー(社会保険労務士事務所)の川崎です。
2024年は、人事・労務に関する重大な法改正が目白押しとなっています。対応の準備は進んでいらっしゃるでしょうか?
今回は数ある法改正の中から、特に重要と思われるものについてまとめてみました。年頭の折に、改めてご確認いただければ幸いです。
中小企業では、2020年4月1日から時間外労働の上限規制が導入されています。
時間外労働(休日労働は含まず)の上限は原則として、月45時間・年360時間に収めなければならず、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。
これまで建設事業、自動車運転の業務、医師については上記の適用が猶予されていましたが、2024年4月からは一般企業と同様に「時間外労働の上限規制」が適用されます。
■参照
厚労省:「適用猶予業種の時間外労働の上限規制 特設サイト(建設・自動車運転業)」
https://hatarakikatasusume.mhlw.go.jp/index.html
厚労省:「医師の働き方改革」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/ishi-hatarakikata_34355.html」
2024年4月1日から、労働契約の締結・更新時の労働条件明示事項に新たな項目が追加されます。
1)就業場所・業務の変更の範囲
<明示のタイミング>
全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時。
<新しく追加される明示事項>
「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容、及びこれらの「変更の範囲」の記載が必要です。「変更の範囲」は、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲のことです。
2)更新上限の有無と内容
<明示のタイミング>
有期労働契約の締結時と更新時。
<新しく追加される明示事項>
更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と、内容の明示が必要になります。また、更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を更新上限の新設・短縮をする前に、あらかじめ有期契約労働者に説明しなければなりません。
3)無期転換申込機会および無期転換後の労働条件
<明示のタイミング>
無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時。
<新しく追加される明示事項>
無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示および、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
また、無期転換後の労働条件決定に当たっては、就業の実態に応じて、正社員とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととされています。
■参照
厚労省:「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156050.pdf
現行、民間企業での障害者の法定雇用率は2.3%とされていますが、2024年4月より2.5%へ段階的に引き上げられます。
これにより、障害者を1人雇用しなければならない会社の範囲が、2024年4月より「従業員40人以上」となります。
また、2026年7月からの法定雇用率は2.7%へ引き上げが予定されており、対象となる会社は「従業員37.5人以上」へ広がることになります。
この改正に伴い、対象となる会社には次の対応が求められるようになります。
1)毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告すること
2)障害者雇用の促進と継続を図るために「障害者雇用推進者」を選任するよう努めること
3)障害者を解雇する場合、ハローワークに解雇届を届け出ること
また、従業員のカウント方法については、支店や営業所が複数ある場合でも、企業全体で集計を行います。
カウントの対象となるのは「1年を超えて雇用されている人」か、もしくは「1年を超えて雇用される見込みがある人(常用労働者)」で、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の人は「0.5人」とカウント、30時間以上の人は「1人」とカウントします。
なお、雇用形態(有期契約社員やパート・アルバイト等)にかかわらず、上記に当てはまる場合にはカウントの対象となります。
■参照
厚労省:「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
2024年10月から、従業員数51人以上の事業所に対する社会保険の適用が拡大されます。下記の加入基準を満たすパート・アルバイト従業員を社会保険に加入させなければなりません。
<パート・アルバイト従業員の要件>
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・1ヵ月あたりの給料が88,000円以上であること
・2ヵ月を超えて雇用される見込みがあること
・学生でないこと
少し詳しく見てみます。
1)事業所規模要件の「従業員数51人」について
①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全事業所単位、個人事業主は個々の社会保険の適用事業所単位で従業員数をカウントします。
②月ごとに従業員数をカウントし、直近12ヵ月のうち6ヵ月で基準を上回っていれば適用対象となります。
③社会保険の適用対象者(フルタイムの従業員、及び週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の従業員)をカウント対象とします。(それ未満のパート・アルバイト従業員は含みません。)
2)従業員の労働時間要件(週20時間)について
週20時間の判定は、基本的に契約上の所定労働時間によって行います。
ただし、契約上の所定労働時間が20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2ヵ月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3ヵ月目の初日に被保険者の資格を取得します。
3)従業員の賃金要件(月8.8万円)について
基本給及び諸手当によって判断し、残業代・賞与・臨時的な賃金・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当等)は含まれません。
資格取得時の「報酬月額」には残業代や通勤手当を含めますが、そちらとは算出方法が異なる点に注意が必要です。
■参照
厚労省:「社会保険適用拡大特設サイト」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/
会社が適用対象となる人数を擁しているか、要件を満たすパート・アルバイト従業員がいるか、上記や厚労省のHPを参照の上、改めてご確認いただければと思います。
2024年は、人事・労務関連の大幅な変革の1年となりそうです。特に10月からの社会保険適用拡大については、従業員からの問い合わせ・相談が増えることが予想されますので、制度の見直しや対象者への説明、資格取得の準備等、早めに対策を進めておきましょう。
今回のブログに書ききれなかったその他の法改正情報については、今後のブログで随時ご紹介していきたいと思います。
法改正や労務対応についてご不明な点がありましたら、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。
以上、アンドディー(社労士事務所)の川崎でした!
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