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令和5年9月「年収の壁・支援強化パッケージが公表されました」

 

 

こんにちは。アンドディー(社会保険労務士事務所)の川崎です。

 

令和59月、「こども未来戦略方針」のもと「年収の壁・支援強化パッケージ」が政府より公表されました。

 

「年収の壁」とは、パート労働者の収入がある一定額を超えると、税金や社会保険料の負担が生じて手取りが減ることを指します。それを避ける為に働き控えが生じている現状を解消していく為、今回の対策が講じられました。

 

本ブログでは、公表された対策内容について見て行きたいと思います。

 

 

 

1.年収の壁・支援強化パッケージとは

 

日本の経済構造を改善し、成長と分配の好循環を実現するための取り組みの一環です。

令和5年は30年ぶりの高水準の賃上げとなりました。また、地域別最低賃金額の全国加重平均は1004円と、政府目標の1000円を達成しました。


その一方で、中小企業や小規模事業者を含めた幅広い賃上げ波及を促進し、フルタイム労働者だけではなく、短時間労働者にもこのような賃上げの流れを波及させていくためには、本人の希望に応じて可能な限り労働参加できる環境が重要とされています。


併せて、2040年にかけて生産年齢人口が急減し、社会全体の労働力確保が大きな課題となる為、人手不足への対応も急がれるところです。


今回のパッケージは、これらの課題に対処し、労働環境の改善を進めることを目的として創設されました。

 

○参考記事○

年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)

 

 

 

 

2.具体策

 

対策の内容は、「103万円」「106万円」「130万円」の「年収の壁」ごとに分かれています。現状と課題、政府の対策をそれぞれまとめてみました。

 

 <年収103万円>

現状:所得税が発生

課題:配偶者手当の支給要件を「年収103万円」未満としている一部企業で、支給要件を満たさなくなる

対策:企業に対し、配偶者手当の基準見直し手順資料などを公表し、対応を働きかける

 

<年収106万円>

現状:被保険者数101人以上の企業で健康保険、厚生年金保険の保険料が発生

課題:保険料負担を避ける為、働き控えが発生

対策:労働時間の延長や賃上げへの取り組みの他、「社会保険適用促進手当」を支給する企業に対し、キャリアアップ助成金に新コース「社会保険適用時処遇改善コース」を設け、助成金を支給(従業員一人当たり最大50万円)

 

※助成額は1.2年目が20万円、3年目が10万円で、合わせて最大50万円です。

 

※2024年10月の適用拡大では「被保険者数51人以上」の企業も社会保険の適用対象となります。

 

 

○参考記事○

令和6年10月からパート・アルバイトの社会保険加入要件が更に拡大されます(厚労省)

 

 

<年収130万円>

現状:被保険者数100人以下の企業で厚生年金保険の保険料が発生

課題:保険料負担を避ける為、働き控えが発生

対策:一時的な増収で収入が130万円を超えた場合でも、事業主の証明の添付により、連続2年までは扶養にとどまることを特例的に認める

 

 

パッケージは2023.10月より開始とされていますが、助成金の申請方法、事業主の証明方法の具体的な内容は、今後、厚労省より詳細が示されるものと思われます。

(本稿執筆2023.10.05時点)

 

 

 

まとめ

 

回の支援策は、2025年の年金制度改正に合わせた過渡期の補塡策とされています。今後はサラリーマンや公務員に扶養されている専業主婦ら、第3号被保険者の制度を抜本的に見直していく考えが示されており、今後の動向に注目が必要です。

 

また上述の通り、「106万円の壁」は、現行は「被保険者数101人以上」の企業が対象ですが、202410月の適用拡大では「被保険者数51人以上」の企業も対象となります。該当企業の担当者は、従業員への説明が必要になってくるでしょう。

 

年収の壁・支援強化パッケージ、社会保険の適用拡大について対策をご検討のご担当者様は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

以上、アンドディー(社会保険労務士事務所)川崎でした!

 

 

 


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