大阪市中央区|社会保険労務士事務所アンドディー【大阪 社労士】
人材を人財に変える社労士事務所・アンドディー
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こんにちは。アンドディー(社会保険労務士事務所)の川崎です。
大阪府では、新型コロナの感染者が238,295人に達しています。(本稿執筆8/4時点)現時点では、政府による行動制限等は特に設けられないようです。「手洗い・うがい・消毒・人込みは避ける」の凡事徹底で、自衛を心掛けようと思う今日この頃です。
それでは早速、本日のブログをご紹介させて頂きます。
今回のテーマは、「社会保険の適用拡大」についてです。
いよいよ適用開始が目前に迫っていますので、改めて制度の内容を確認するとともに、中小企業が備えておくべき点について見ておきたいと思います。
適用拡大の対象事業所は、下記のとおりに変更されます。
【適用拡大の要件】
2022年10月〜従業員数100人超(101人以上)規模
2024年10月〜従業員数50人超(51人以上)規模
上記1.で事業所規模を満たした事業所の従業員について、社会保険の被保険者に該当するか判断されます。
具体的には、従来の従業員要件に加え、新たに4つの要件をすべて満たす従業員(短時間労働者)は、被保険者となります。
【従来の従業員要件】
・正規従業員/フルタイム従業員
・週の所定労働時間数および月の所定労働日数が、正規従業員の4分の3以上であるパート、アルバイト等
【新たに追加された従業員要件】
正規従業員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、以下の4つの要件をすべて満たす従業員(短時間労働者)は、被保険者になります。
1)週の所定労働時間が20時間以上あること
2)雇用期間が2か月超見込まれること
3)賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
4)学生でないこと
上記、 1)~4)の各要件について、詳しくみていきます。
1)「週の所定労働時間が20時間以上あること」
週の所定労働時間は、原則、「契約上の労働時間」が20時間以上あることで判断します(残業など臨時の労働時間は含まない)。ただし、週の所定労働時間が20時間未満であっても、実労働時間(残業時間を含む)が2か月連続して週20時間以上となり、引き続き20時間以上となることが見込まれる場合には、3か月目から社会保険が適用されます。
2)「雇用期間が2か月超見込まれること」
雇用期間が2か月超見込まれるかどうかで判断します。ただし、雇用契約期間が2か月以内であっても、実態が2か月を超えて使用される見込みがある場合は、雇用期間の始めから遡及して適用対象となります。たとえば、雇用期間が2か月以内でも、以下のような場合は遡及して適用を受けます。
ア)就業規則、雇用契約書等で、「更新あり」「更新される場合がある」旨が明示されている
イ)同一の事業所で、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新等により2カ月を超えて雇用された実績がある
※ただし、ア)イ)のいずれかに該当するときであっても、労使双方により、2カ月を超えて雇用しないことについて合意しているときは、定めた期間を超えることが見込まれないこととして取り扱われます。
3)「賃金月額が8.8万円以上であること」
基本給及び諸手当で判断します。なお、以下ア)~エ)までの賃金は賃金月額に算入されません。
ア)臨時に支払われる賃金(慶弔見舞金等)
イ)1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
ウ)時間外労働手当、休日・深夜手当
エ)最低賃金に参入しないことが定められた賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
4)「学生でないこと」
高校、専門学校、大学に通う昼間学生は、社会保険の適用対象外です。ただし、休学中の者、夜間学生、いわゆる社会人大学院生等の者、あるいは卒業前に就職する場合、卒業後も引き続き同じ会社に雇用される場合などは、保険適用となります。
また、昼間学生であっても、適用事業所に使用され4分の3基準を満たす場合は、正社員等同様に一般保険者として保険適用となります。
上記1.記載の通り、今後段階的に従業員規模の要件が拡大されていきますが、従業員数のカウントの方法と、カウントのタイミングはどのようなものになるのでしょうか?
「従業員数のカウント方法」
社会保険の適用要件を判断する従業員数をカウントする場合は、その会社の常時使用する労働者数ではなく「社会保険の被保険者総数」で判定します。(今回の適用拡大の対象となる短時間労働者や、70歳以上で健康保険のみ加入しているような方は対象に含めません)
また、企業のタイプによって、下記いずれかの考え方で判定します。
・法人事業所の場合:同一の法人番号を有する全ての適用事業所の被保険者総数
・個人事業所の場合:適用事業所ごとの被保険者総数
「従業員数の判断のタイミング」
次に、上記の従業員数のカウントですが、「直近12か月のうち6カ月で100人を超えることが見込まれる場合で適用対象となる」とされており、該当する場合は速やかに自主的な届け出を行うよう求められています。
なお、上記基準を上回ることが明らかな場合は、日本年金機構において自動的に適用され、事業所に通知されます。
社会保険の適用拡大は、企業にどのような影響を与えるでしょうか。
当初、2022年に100人超(101人以上)規模の企業が適用対象になると、新たに被保険者となる人は45万人、2024年の50人超(51人以上)規模の企業が対象となった場合には、新たに65万人が対象となるとされていましたが、近年の動向を踏まえて再計算をおこなった結果、65万人→70万人程度が見込まれると修正されました。
更に、今年10月からは最低賃金が31円を目安に上昇することが予定されています。時給1,013円以上となった場合に週20時間以上勤務すれば、月額賃金要件(8.8万円以上)を満たすことになりますので、結果、新たに保険者に該当する人は110万人程度見込まれることになります。
参考記事
「被用者保険の適用拡大について(2019.12.25厚生労働省保険局)」
これらの社会保険料は、いずれも企業が半分を負担することになり、コスト増がのしかかります。厚労省の試算によれば、適用拡大によって短時間労働者が社会保険に加入した場合、企業における保険料負担は、1人当たり約24.5万円/年(40〜65歳の者の場合、+約1.5万円)増加するとされています。
参考記事
「年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大(厚生労働省)」
適用拡大が社会保障の充実に寄与するとされる一方で、社会保険料の負担は企業にとって非常に大きいものです。下記のような対策を行い、適用拡大後の社会保険料負担を意識した労働時間、および労働日数の設定を含め、従業員を今後どのように活用していくか等、多方面から検討していく必要があるでしょう。
1) 会社の方針を決定する
2) 社会保険適用対象者を確認する
3) 適用拡大後の社会保険料を算出する
4) 社会保険適用対象者本人の意向を確認する
5) 雇用時間管理を徹底する
6) 採用計画などの見直しをおこなう
7) 助成金や補助金等の活用を検討する
8)「社会保険完備」であることを、求人の魅力アップ材料として活用する
【参照】
「短時間労働者に対する健康保険 ・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集」
政府によれば、社会保険適用拡大の意義は、従業員の「社会保証の実現」「働き方や雇用の選択をゆがめない制度の構築」「社会保障の機能強化」に集約されるとされています。
一方で、会社の負担増にいかに対応していくかは個々の企業努力に委ねられています。費用負担増への対策にとどまらず、「雇用契約書の取り交わし」や「加入手続き」等、細かな点も対応が必要となってくるでしょう。
当事務所では、平素から会社様に応じた『労務条件』、快適な『労働環境』、万全な『所内体制の確立』等の御提案、各種手続きに対応しております。
「従業員への説明方法を相談したい」、「この機会に制度の見直しを行いたい」とお考えのご担当者様は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。
以上、アンドディー(社会保険労務士事務所)川崎でした!
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