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同一労働同一賃金を実現するための改正が中小企業にも適用されます(2020.04.01施行)

 

こんにちは。アンドディー(社会保険労務士事務所)の川崎です。

春本番ですね。事務所から見える大川の桜並木が満開を迎え、とても綺麗です。

この時期だけの眺めを静かに楽しみながら、この記事をしたためています。
来年は、マスクなしで桜を楽しみたいものですね。

 

同一労働同一賃金に関する法規制について

 

さて、令和3年4月から「同一労働同一賃金に関する法規制」が、中小企業に対しても施行されますが、ご存知ですか?

今後は、”中小企業で働く正社員と、パートタイム労働者及び有期雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止される”

 

という内容になります。

 

 

こんな悩みはありませんか?

「今の会社規定のままでいいのか、ちょっと不安かも…」
「従業員から問い合わせがあったら、どう答えたら良いの?」

と思われた方も多いのではと思います。

 

そこで、中小企業に対する同一労働同一賃金の実現に向けた法改正の概要とは?
また、従業員から質問された場合にはどのように対応すればいいか。

 

を見ていきたいと思います。

 

  • 1.不合理な待遇差を解消するための規定の整備

  • 2.短時間・有期雇用労働者への待遇に関する説明義務の強化

 

 

上記について、1つずつ見ていきます。

 

1.「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」

 

まずは、不合理かどうかを判断する基準として、「均衡待遇」と「均等待遇」という2つの考え方を理解します。

 

 

(1)「均衡待遇」とは
正社員と、パートタイム労働者及び有期雇用労働者との間で、

 

① 職務内容
② 職務内容・配置の変更範囲

 

のうち、個々の待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理な待遇を禁止するものです。

 

 

(2)「均等待遇」とは
正社員と、パートタイム労働者及び有期雇用労働者との間で、

 

① 職務内容
② 職務内容・配置の変更範囲

が全く同じ場合は、その待遇について、パートタイム労働者及び有期雇用労働者であることを理由とした差別的取り扱いを禁止するものです。

 

 

上記をまとめると、

①と②の両方、又はいずれかが異なる場合⇒「均衡待遇」  
…その他の事情も考慮して、その違いに応じた待遇を適用します。

 

①と②の両方とも同じ場合⇒「均等待遇」
…正社員と同じ待遇を適用します。

 

 

次のケースも見てみましょう。

 

 

正社員と、パートタイム労働者及び有期雇用労働者との間に待遇差がある場合、

「何が不合理で、何が不合理でないか」の判断が必要になりますが、その基準は「同一労働同一賃金ガイドライン」で具体的に示されています。

 

参考サイト
「同一労働同一賃金ガイドライン」(厚生労働省)

 

 

ガイドラインによると、

例えば「基本給」については、大きく次の3つの要素に分かれており、それぞれの要素の実態に応じ、同一であれば同一の支給が、違いがあれば違いに応じた支給が求められています。

 

 

(1)労働者の能力または経験に応じて支給するもの

(2)労働者の業績または成果に応じて支給するもの

(3)労働者の勤続年数に応じて支給するもの

 

 

他にも賞与、各種手当についてガイドラインに定められていますので、詳細は厚労省HPをご確認いただければと思います。

 

 

 

 

2.「短時間・有期雇用労働者への待遇に関する説明義務の強化」

 

 

事業主は、パートタイム労働者及び有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員との待遇差の内容やその理由などについて「客観的、具体的」な説明をしなければなりません。

 

 

「客観的、具体的」な説明ができない場合は、現状の規定を見直す必要があるかもしれません。

 

 

また、説明ができると判断した場合は、あらかじめ説明する内容をきちんと整理しておくことが大切になります。

 

 

「単純にパートだから」とか「将来の役割期待が異なるから」

という主観的・抽象的な理由では、「客観的、具体的」な説明とは判断されませんので、注意が必要です。

 

 

そして、

待遇差の説明を求めた労働者への不利益な取り扱いは禁止されています。

 

 

 

引用記事

「パートタイム・有期雇用労働法 対応のための取組手順書」(厚生労働省)

  https://www.mhlw.go.jp/content/000656094.pdf

 

 

 

まとめ

 

今回、同一労働同一賃金のガイドライン等をご紹介しました。

 

ただし、それだけでは「正社員の賃金に対して何割程度の待遇差が許容されるか?」といった、具体的な点までは明確ではないため、過去の判例もあわせて参照する必要も生じるかと思います。

 

アンドディーでは、クライアント様からの上記のようなお問い合わせに、専門的な立場からアドバイスもさせていただいております。

 

制度の見直しや、従業員対応などについてご相談をご希望のご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

以上、川崎でした。