大阪市中央区|社会保険労務士事務所アンドディー【大阪 社労士】
人材を人財に変える社労士事務所・アンドディー
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こんにちは。アンドディー(社会保険労務士事務所)の川崎です。
近年、日本の夏の暑さは異常とも言える状況が続いています。時に40度を超える猛暑に見舞われる中、熱中症関連での労働災害が急増し、深刻な問題となっています。
この事態を受け、2025年4月15日、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第57号)」が公布されました。
これにより、職場での熱中症対策が新たに義務化され、違反には罰則も科されることになりました。
改正内容は、2025年6月1日から施行されますので、今回はそのポイントを見ていきたいと思います。
全国では、職場の熱中症によって2023年に31人、2024年は30人の方が亡くなっています。
出典:「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(令和7年1月7日時点速報値)」
これは、労働災害による死亡者数全体の約4%を占める数値で、対策が急務となっています。
厚生労働省によると、その主な原因は「体温が高く意識が朦朧とするといった初期症状の放置」や「医療機関への搬送などの対応の遅れ」によるものでした。
これまで、職場の暑熱の危険に関しては、様々な法令の中で危険と労災防止策等が定められていたものの、「熱中症の自覚症状やそのおそれがある人に対し、早急に適切な対策を取ること」に関する明確な規定はありませんでした。
そのため、今回、それらを義務づける法改正が行われることとなりました。
今回、熱中症対策の新たな義務となるのは、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」です。
1)「早期発見」のための報告体制の整備と関係者への周知
暑熱な場所で連続して行われる作業など、熱中症のリスクがある作業を行う場合、下記について事前に整備しておく必要があります。
①作業者が自身の自覚症状を報告するための体制
②他の作業者が熱中症の疑いを発見した場合に報告する体制
また、整備した報告体制を、事業場ごとにあらかじめ関係作業者に周知する必要があります。
2)「症状悪化防止」のための措置と手順の作成・関係者への周知
熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に
①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知する必要があります。
実施手順作成については、熱中症のおそれのある者に対する処置の例(フロー図)が厚生労働省のHPに掲載されていますので、ご参照いただければと思います。
厚生労働省パンフレット:「職場における熱中症対策の強化について」
対象となるのは、以下の条件を満たす作業です。
「暑さ指数(WBGT)28度または気温31度以上の環境下で、継続して1時間以上または、1日あたり4時間を超えて実施が見込まれる作業」
「暑さ指数(WBGT)」とは、Wet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略で、熱中症を予防することを目的として、1954年にアメリカで提案された指標です。
単位は気温と同じ摂氏(℃) で示されますが、その値は気温とは異なります。
熱中症の発症に関与するとされている、気温、湿度、日射、気流の4要素を総合的に評価することができるため、人が受ける暑熱環境による熱ストレスを評価し、熱中症を予防するための指標として世界中で広く活用されています。
厚生労働省:「暑さ指数(WBGT)について」
事業者が「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」の対策を行わなかった場合、労働者の安全配慮義務を怠ったとして「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。
安全衛生は、労働者の命や健康を守るための活動や制度のことを指し、熱中症対策もこの一環であるためです。
今回の改正を含め、事業所の熱中症予防対策に関する総合的な情報が、厚生労働省の専用ページに掲載されています。
各種動画やリーフレットなど、事業所内での情報共有や周知等にお役立ていただければと思います。
厚生労働省:「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」
厚生労働省:「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(令和7年1月7日時点速報値)」
職場における熱中症は、労働者の健康と生命に関わる重大な問題です。
シニア世代の就労増加に伴い、熱中症にかかる高齢者が増加傾向にあることや、職場における熱中症が「7月」「8月」に集中して発生していることなどから、対策は喫緊です。
しっかり準備を進め、実効性のある熱中症対策を講じるようにしましょう。
今回の改正に伴う各種制度の整備などをご検討されている会社担当者の方は、当事務所へお気軽にご相談ください。
以上、アンドディー(社労士事務所)の川崎でした!
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